Kanonを手掛けた「Key」の第2作目にあたるのがAirだ。
Airは恋愛アドベンチャーにカテゴライズされるが恋愛要素は少ない。どちらかと言えば母と子の愛情が主軸となっている。僕はKanonのと…Kanonを手掛けた「Key」の第2作目にあたるのがAirだ。
Airは恋愛アドベンチャーにカテゴライズされるが恋愛要素は少ない。どちらかと言えば母と子の愛情が主軸となっている。僕はKanonのときと同じくドリームキャストでプレイした。
やはり衝撃的な体験だった。僕は、ときめきメモリアルやシスタープリンセスのような女の子のキャラクターが登場するノベル形式のゲームを遊んだことがなかった。Kanonが初めてでAirが2番目だ。そういったゲームをよくプレイする人ならお決まりの展開があったかもしれないが、僕にとってはいろいろなことが初めての体験だった。そしてまた音楽をカセットテープに録音して聞き続けた。
このとき、僕はもう、親から捨てられたことを理解していた。自分は親に捨てられるくらい価値がない人間だと納得していた。
しかし夜になると恐怖感が訪れる。
そんなときはドリームキャストを起動させた。14型の小さなテレビの明かりだけが光る部屋で、オレンジ色のボールがDreamcastの文字を浮かび上がらせグルグルと渦巻いたロゴを描く。
Airは次の一説からスタートする。
「我が子よ…よくお聞きなさい。」
当時の僕は、Airが描く母と子の物語に没頭することになる。
そんな僕の日常を彩ったのが同人CDというものだ。同人CDは、その作品が好きな人たちが楽曲をアレンジして制作したCDのことだ。いまでこそネット配信が主流になり、CDのプレス代がかからなくなり、商業的に同人音楽をつくる人も増えてきたが、当時はまだ「好き」だけで音楽制作をしていた人が多かったように感じる。
僕は都会住まいではない。だから同人CDが売っているお店までは、とんでもない距離があった。それこそ弱虫ペダルの世界だ。
弱虫ペダルは週刊少年チャンピオンで連載された漫画だ。主人公はアニメグッズを買うために千葉から秋葉原まで毎週90キロをママチャリで走る。
僕の場合はたった1枚の同人CDを買うために長距離を走った。お金がなくて高いものは買えない。600円のCDを買って帰ってくる。僕にとっては自転車の道のりと、ドリームキャストが青春なのだ。展開▼
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